【完】999本のバラを君に。
屋上に着けば、染谷さんはあたしの方を見て、あたしの両手を握った。
「え……」
「この前はごめんね、いきなり」
「い、いえ……」
「あのね、勘違いしてるかもしれないから言うけど、あたし真優ちゃんが嫌いなわけじゃないのよ? むしろ、仲良くしたいの」
「そう、なの……?」
「うんっ! だから、あたしのことも名前で呼んでよ!」
「麗華、ちゃん……?」
あたしがそう言うと、麗華ちゃんは嬉しそうに笑った。
「ねぇ、真優ちゃん」
「ん?」
「教えてあげよっか」
そう笑う麗華ちゃんは、さっきまでと少し違って。
「あたしが、なんで転校したのか」
……聞いちゃいけない。
そう、自分の中でサイレンがなっていた。
でも、
聞けずには、いられなかったんだ。