【完】999本のバラを君に。
翔太は自転車に股がり、「乗れよ」と優しく笑って言った。
「え、2人乗り怒られない?」
今、絶対先生校門にいるし……。
「ばーか、そんなヘマしねーよ。ほら、早くしないと映画間に合いませーん」
「……じゃあ」
あたしは「お邪魔します」と小さく呟いて、後ろに乗った。
「掴まっとかないと、落ちますよー」
「掴まってるよ?」
ちゃんと荷台のところに。
「ばーか、こっちにだよ」
翔太はそう言って、あたしの片手を自分のお腹にまわした。
その行動に、かぁぁぁぁあっと、顔に熱が溜まる。
「ほら、早く」
「……う、うん……」
そっと、翔太のお腹のところに腕をまわす。
すると翔太は、優しく笑って「落ちんなよ」と言って、前を向いた。