【完】999本のバラを君に。
悠太君があたしにこの事を言わなかったのは、簡単だ。
あたしを傷つけないため。
麗華ちゃんの言う通り、同情……だったのかもしれない。
でも、それも悠太君の優しさ。
悠太君は……やっぱり優しいね。
何も知らないふりをして、嘘をついてくれたんでしょ?
「……真優ちゃん、もう一度聞くよ。
兄貴に会いたい?」
『答えは決まってるのにね』
今日のお昼、悠太君はそう言ったよね。
その通りだよ。
「うん……っ、
会いたい……っ」
婚約者がいても、
もう捨てられたかもしれないけど、
会いたい。
翔太に、もう一度会いたいよ。