【完】999本のバラを君に。
『キスも、優しいし、抱きしめてくれる時も温かいし……』
麗華ちゃんの言葉が耳に入る度に、胸が苦しくて苦しくて、破裂しちゃうんじゃないかって。
それは、もう、体が知っているからなんだ。
『真優』
そう、あたしの名前を優しく呼んで。
頬に添える手は大きくて、優しくて。
抱きしめてくれる腕は、あたしの体を全部包んでくれて、温かいんだ。
……それを、全部知ってるから。
もう、体が覚えてしまってるから。
『それに……初めての時も、すっごい優しかったし』
その優しさを、温かさを、他の誰かに知られるのが嫌で。
それが、こんなにも苦しいなんて、知らなかったんだ。