【完】999本のバラを君に。
「……真優ちゃん、泣いても、兄貴は抱きしめにきてくれないよ」
わかってる、そんなの。
どんなに泣いても、翔太は、あたしのところにきてくれない。
「それでも、兄貴に会いたい? 会って、どうすんの?
染谷麗華を抱いたことに文句を言う?
怒って別れる?
それとも……あてつけで、俺に抱かれる?」
悠太君の言葉に、思わず顔を上げた。
「……泣いてる真優ちゃんは、もう見たくないよ」
悠太君はそう言って、あたしを強く、優しく抱きしめた。
その力強さに、優しさに、温かさに、あたしの瞳からさらに涙が溢れ出して。
ねぇ、翔太……。
もう、あたしのこと好きじゃないの?
麗華ちゃんを、愛してるの??
翔太……
もう、あたしが待っている意味はない??