【完】999本のバラを君に。
授業終わりのチャイムが聞こえて、あたしはそっと悠太君から離れる。
「教室、戻ろ……?」
「真優ちゃん」
「ん?」
「俺は、本気で真優ちゃんが好きだよ。真優ちゃんが兄貴を想ってても、俺は真優ちゃんが好きだ」
「……っ」
悠太君の瞳が、あまりにも力強くて、真っすぐで、目がそらせない。
「これ以上真優ちゃんが傷つくのはもう、見たくない。真優ちゃんを絶対泣かせないから、絶対幸せにするから、俺の隣で、ずっと笑ってよ」
悠太君の言葉に、あたしの瞳から涙があふれる。
どうして、どうして……あたしは、翔太がこんなにも好きなんだろう。
こんなにも、あたしを想ってくれる人がいるのに。
こんなにも、あたしを想ってくれる人を、どうしてあたしは好きじゃないの?
「……クリスマス、もう一度言うから。いい返事、待ってる」
「……うん」
悠太君の顔があまりにも切なくて、あたしはそう返事をすることしかできませんでした。