【完】999本のバラを君に。
「んじゃ、しゅっぱーつ!」
翔太がそう言ったあと、自転車がゆっくり動き出す。
「わっ、ちょ、こわっ」
「はいー? まひろ、2人乗り初めて?」
「う、うん……」
「ははっ。へーき、へーき! しっかり掴まっとけば」
その掴まっとく場所が、すごく恥ずかしいんですが。
でも……一応彼女だから、いい、よね。
あたしは、ギュッと翔太のお腹にくっついた。
自転車は校門に近づいてきて、あたし達は、下校中の生徒の注目の的。
「ごらぁっ!! 相原、豊崎!!」
「げっ、生活指導の渡部じゃんっ! よっしゃ、とばすぞーっ」
翔太はそう言って、自転車を加速させていく。
渡部先生をふりきって、落ち着いた頃、あたしらは同時に吹き出した。