【完】999本のバラを君に。





「んじゃ、しゅっぱーつ!」

翔太がそう言ったあと、自転車がゆっくり動き出す。

「わっ、ちょ、こわっ」

「はいー? まひろ、2人乗り初めて?」

「う、うん……」

「ははっ。へーき、へーき! しっかり掴まっとけば」

その掴まっとく場所が、すごく恥ずかしいんですが。

でも……一応彼女だから、いい、よね。

あたしは、ギュッと翔太のお腹にくっついた。

自転車は校門に近づいてきて、あたし達は、下校中の生徒の注目の的。

「ごらぁっ!! 相原、豊崎!!」

「げっ、生活指導の渡部じゃんっ! よっしゃ、とばすぞーっ」

翔太はそう言って、自転車を加速させていく。

渡部先生をふりきって、落ち着いた頃、あたしらは同時に吹き出した。






< 20 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop