【完】999本のバラを君に。
「んでさ、言ったらさ、さすがの悠太も同様したみたいでね。真優ちゃんに伝えてって言ったら、上手く伝える自信がないから、って。本当に真優ちゃんのこと大好きなんだねっ」
何を、言ったの……?
「あと、話さないといけないのは、婚約のことかな。
染谷さんのお嬢さんとの婚約ね、あれ翔太の本意じゃないの。ずっと反対してるし」
肝心なことを話さない美沙さん。
それだけ、重要な事……なのかな。
「だから真優ちゃんには、信じて待ってて欲しかった」
「……私も、そうしたかったです」
でも……キスシーンなんて見たら、もう、待てなかった。
「ま、あいつが不器用すぎるんだけどねーっ。こんなに本気になったの、初めてみたいだし」
「……美沙さん、大丈夫です。話してください」
「……昨日ね、翔太病院に行ったの」
「え……?」
病、院……?
胸がドクンと波を打った。
「それでね、医者が診断した結果が、
胃がんだって」
美沙さんの言葉に、頭が真っ白になった。