【完】999本のバラを君に。





「んでさ、言ったらさ、さすがの悠太も同様したみたいでね。真優ちゃんに伝えてって言ったら、上手く伝える自信がないから、って。本当に真優ちゃんのこと大好きなんだねっ」

何を、言ったの……?

「あと、話さないといけないのは、婚約のことかな。
染谷さんのお嬢さんとの婚約ね、あれ翔太の本意じゃないの。ずっと反対してるし」

肝心なことを話さない美沙さん。

それだけ、重要な事……なのかな。

「だから真優ちゃんには、信じて待ってて欲しかった」

「……私も、そうしたかったです」

でも……キスシーンなんて見たら、もう、待てなかった。

「ま、あいつが不器用すぎるんだけどねーっ。こんなに本気になったの、初めてみたいだし」

「……美沙さん、大丈夫です。話してください」

「……昨日ね、翔太病院に行ったの」

「え……?」

病、院……?

胸がドクンと波を打った。

「それでね、医者が診断した結果が、



胃がんだって」




美沙さんの言葉に、頭が真っ白になった。






< 226 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop