【完】999本のバラを君に。
約束を、もう一度
駅から10分ぐらい先にある総合病院。
あたしは、病院に着き、翔太が入院してる部屋へと急ぐ。
階段を駆け上がって、部屋の前に立つ。
……個室か。さすがだね。
あたしはゆっくりと部屋のドアを開けた。
ねぇ、翔太……ごめんね、信じてあげられなくて。
美沙さんの言う通り、信じて待ってればよかった。
あの日、桜の木にいた理由……あたしに、この事を告げるためだったんだよね。
でも、あたしが悠太君とつき合ってるって聞いて……諦めさせようとしてくれたんでしょ?
ほんと……わかりやすいところ、変わってないね。
ねぇ、翔太。
あたし、やっぱり翔太がどうしようもなく大好きだよ。
忘れるなんて……無理だって、いつか気づいてたと思う。
だから、もう一度……あたしに、チャンスをください。
扉が開く音と同時に、中から声が聞こえた。
「美沙か? 明日来るんじゃ……まひろ?」
翔太の優しい声に、涙が出そうになった。