【完】999本のバラを君に。
唇が離れれば、翔太は目をまん丸にしていて。
そして、「はぁ」と呆れたようにため息をついた。
「……ばかやろ」
そう言って、あたしをギュッと抱きしめる。
「おせぇよ」
優しくそう言う声が、こんなにも嬉しい。
あぁ……なんも、変わってなんていなかったんだ。
わかりやすいところも、
不器用なところも、
こんなにも……温かいところも。
「遅いのは、翔太だよ」
「婚約なんてしねーから」
「……うん」
「……もう、絶対はなさねぇ」
「うん……っ」
離れないよ。
無理矢理離されたって、無理矢理離れないから。