【完】999本のバラを君に。
翌日の夕方、あたしは電車に乗って病院へと向かう。
部屋の前に来ると、ちょうど美沙さんが帰るところだった。
「……ありがとう、きてくれて」
「あの日、教えてくれてありがとうございました」
美沙さんは「頑張ってね」と笑って、行ってしまった。
部屋に入れば、翔太はイヤホンで音楽を聞いている。
「おっす」
「あたしも聞いて良い?」
「もちろん」
出会ったばかりと同じように、イヤホンを片耳につけて、大好きなアーティストの曲を聴く。
「あ、真優には渡したいもんがあるんだった」
「え?」
「クリスマスプレゼント」
「……ぷ」
「んだよ」
「いやっ、考えること、同じだなーって」
実は、今日あたしも翔太へのクリスマスプレゼントを渡そうと思ってもってきている。
翔太は目をまん丸にして、そしてすぐにあたしと同じように笑った。