【完】999本のバラを君に。
「じゃあ、俺から」
翔太は「目閉じて」と優しい声で言う。
あたしは、言われた通りそっと目を閉じる。
「金なくてこんなもんしか買えなかったけど」
そう言って、翔太はあたしの手の平にプレゼントを置いた。
「目、開けて良い?」
「うん」
そっと目を開けると、目に飛び込んできたのはウサギのぬいぐるみがついたストラップ。
「わぁ、可愛い……」
「ベタにお揃いだけど」
「嬉しいっ! ありがと!」
「……どーいたしまして」
照れてるのか、少し耳が赤い翔太。
あたしは思わず頬が緩む。
「じゃあ、次あたしね」
あたしは鞄の中から、プレゼントをだし、翔太に渡す。
「開けて良いか?」
「うん」
これを、渡す日なんてないと思ってた。
でも……どうしても、伝えたい。
あたしの気持ちを。