【完】999本のバラを君に。





翔太はゆっくり包装用紙を外して行き、砂時計を見て少し目を丸くした。

「砂時計……だよな。すげぇ、綺麗だな」

「あのね、砂時計の意味を知ってる?」

「えーと、人生は砂時計とか聞いた事あるけど……」

「もう1つ意味があるんだよ。



『時間は流れるものでなく、積み重なるもの』」


……この砂時計に込めた想い。

今、届けたい。

「翔太と離れた時間、いろんなことがあった。楽しいことも、悲しいことも。

でも、全部積み重なって、そんで最後は幸せになれたらって思って」

そう言うと、翔太はギュッと強くあたしを抱きしめる。

「翔太……あの日の約束、あたしは覚えてるよ。

ねぇ、翔太。



今翔太は、幸せ?」



『もう一度会うって。そのとき、絶対、また聞くから。幸せ?……って』


翔太、答えて。

翔太は小さくあたしの耳元で優しく囁いた。


「うん。すげー幸せ」


その言葉に、あたしの瞳から涙が零れる。






< 242 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop