【完】999本のバラを君に。
翔太はゆっくり包装用紙を外して行き、砂時計を見て少し目を丸くした。
「砂時計……だよな。すげぇ、綺麗だな」
「あのね、砂時計の意味を知ってる?」
「えーと、人生は砂時計とか聞いた事あるけど……」
「もう1つ意味があるんだよ。
『時間は流れるものでなく、積み重なるもの』」
……この砂時計に込めた想い。
今、届けたい。
「翔太と離れた時間、いろんなことがあった。楽しいことも、悲しいことも。
でも、全部積み重なって、そんで最後は幸せになれたらって思って」
そう言うと、翔太はギュッと強くあたしを抱きしめる。
「翔太……あの日の約束、あたしは覚えてるよ。
ねぇ、翔太。
今翔太は、幸せ?」
『もう一度会うって。そのとき、絶対、また聞くから。幸せ?……って』
翔太、答えて。
翔太は小さくあたしの耳元で優しく囁いた。
「うん。すげー幸せ」
その言葉に、あたしの瞳から涙が零れる。