【完】999本のバラを君に。
今……抱きしめられているこの一瞬。
それが、こんなにも幸せで。
そして、あたしも翔太も、それがすごく……怖い。
「真優」
翔太は少し離れて、真っすぐあたしを見る。
「俺と結婚してください」
そういって、あたしの手のひらに、シルバーリングを置いた。
「え……?」
「きっと俺は、誕生日に言えねーから。たぶん、一週間前から、面会もできなくなる」
「……っ。誕生日の、次の日は……?」
「……真優、その日に、そのリングをつけて俺のところに会いにきてよ」
「……うん、わかった」
あたしと翔太は、長いキスをした。
そして、あたしの瞳から一筋の涙が流れた。