【完】999本のバラを君に。
映画が終われば、外はすっかり暗くなっていた。
まぁ、もう19時半だし。
「真優、家どこ? ここら辺だろ?」
「うん。えっと、あっちの住宅街の方だけど……」
「送ってく」
「え、いいよ! ほんと! 近いし、翔太家に帰るの何時になっちゃうかわかんないし!!」
「俺はへーき。真優は女なんだから、1人で帰すわけにはいかないっしょ」
翔太は「それに」と付け足して、
「まだ真優と一緒にいたい」
そんな、とびっきり甘い言葉を言った。
「……バカじゃん」
やっぱり、確信犯だ。
あたしは、行きと同じように、後ろに乗って翔太に掴まる。
チラッと見えた翔太の顔は、優しく笑っていて。
あたしの心臓は、ずっとドキドキしっぱなしだった。