【完】999本のバラを君に。
あたしは、そっと小指についているシルバーリングを見つめる。
「……バカ翔太」
早く、薬指につけ直してよ。
「そろそろ帰らなきゃ」
不審者に思われちゃうしね。
そう思って、足を踏み出した瞬間、桜の木がザァッと揺れた。
……何度も願った。
『永遠があればいいのに』
『幸せな時間を奪わないで』
『この一瞬をいつまでも』
そんな願い、叶わないと思ってた。
神様なんて、いないんだと……そう、思ってた。
けど、そんな願いを今でも願い続けてる……。
だから、思っても、良いよね?
無駄なんかじゃなかったって。