【完】999本のバラを君に。
放課後、あたしは梨華に声をかける。
「梨華一緒に帰ろー」
「あー……ごめん。先約、あるんだっ!」
「? ふーーん」
梨華が先約、ねぇ……。
「じゃあ、先帰るね」
「ん、また明日ね♪」
あたしは下駄箱でローファーに履き替えて、傘をもって玄関を出る。
すると、壁に寄りかかっている翔太が。
「……何、やってんの?」
「雨止むの待ってるんです」
「あ、そう……」
『入れてあげよっか』
って……言ってあげればいいだけなのに。
言えない自分が、少し情けない。