【完】999本のバラを君に。
傘をさして、校門をでる。
けど、数歩歩いて、あたしは立ち止まる。
そして、学校に向かってもう一度歩き出す。
……むかつく。
下駄箱のところの壁に、まだ寄りかかっている翔太が視界に入る。
「忘れ物ですか、お嬢さん」
「……忘れ物、というか……。……傘、入る?」
「ふっ、喜んで」
「……確信犯」
優しく笑う翔太が、ムカつく。
でも、それ以上にこの笑顔が、かっこ良くて。
「傘、俺もつよ」
「あ、ありがと……」
肩を並べて歩くと、わかる。
翔太が、あたしよりずっと背が高いこと。
肩が触れそうなこの距離が、すごくもどかしい。
そんで、
すごく恥ずかしくて、ドキドキが止まらない。