【完】999本のバラを君に。
勝負が終わって、もう教室にもグラウンドにも、人はいなくなった。
あたしは、壁に寄りかかりながら、彼を待っている。
そして、ドアが開く音がして、顔をあげると、翔太が嬉しそうに笑っていた。
翔太はゆっくり近づいてきて、「アホ」と笑って言った。
「フツー、あんな大声で叫ぶかっつの」
「うっさい」
「……嬉しかった、サンキュ」
「うん」
「……まひろ」
コツン、と翔太は額を合わせて、優しく囁いた。
「好きだよ、真優。好きだ」
その言葉に、あたしの瞳から涙が溢れ出す。