【完】999本のバラを君に。
「まひろ」
そう優しくあたしの名前を呼ぶ。
そして、ゆっくりと顔が近づく。
あたしの頬に、優しく温かい手が触れている。
そっと唇が触れそうになったとき。
──キーン コーン カーン コーン
……予鈴が鳴り響いた。
「……くっそぉ」
「あ、あのー……」
「あーーー……戻りますか」
「う、うん……」
翔太はゆっくり、名残惜しそうにあたしから離れる。
……キス、しようとしたんだよね。
翔太とは、あの日以来まだキスしてない。