【完】999本のバラを君に。
映画館に着き、チケットを買ったら、10分後にはもう館内に入る時間で。
「お、席前と一緒」
「なんか、ほとんど前きたときと一緒だねっ。渡部にしても」
「ははっ、確かにっ」
なんて笑い合いながら、席に座って話す。
そんな他愛ない会話をしてると、映画はすぐに始まった。
ケータイ小説が映画化したやつだからか、周りはカップルばかり。
まぁ、恋愛ものだし……。
淡々と見てると、あたしの手に、翔太の手がそっと触れた。
「……バカ」
そう、聞こえないように呟いて、そっと……翔太の手を握る。
そしていつの間にか、繋がれた手は、恋人繋ぎに。
“幸せ”
繋がれた手が、そう教えてくれた気がした。