【完】999本のバラを君に。
水族館について、手をつないでまわり始める。
う、ちょっと冷房効きすぎ……。
「真優、寒いっしょ。これ、羽織ってろよ」
そう言って、翔太は着ていたパーカーを差し出す。
「でも……」
それじゃあ、翔太が寒いじゃん。
「いーから」
無理矢理あたしの肩にかける翔太。
「……ん、ありがとっ!」
「ふ。どーいたしまして」
そう優しく笑う翔太の表情は、未だに少し馴れなくて、顔が熱くなる。
「俺、イルカのショー見てぇ」
「ぷ、ガキじゃんっ」
「うっせ!」
「うん、あたしも見たいっ!」
子供みたいにはしゃぐ翔太は、あたしより楽しんでる気がするぐらい。
泳いでいる魚を見る度に、「すげーすげー」言ってて、隣ではしゃいでいる幼稚園生ぐらいの子と変わらない。
「ふふっ」
「んだよ」
「べっつにー」
大きなサメがくれば、目を輝かせてみる翔太。
そんな姿に、あたしは思わずクスクスと笑う。