【完】999本のバラを君に。






イルカのショーの時間になり、その場所に行けば、翔太は一番前に座って。

「ねぇ、ここ水かかるよー?」

「後ろより楽しいからいいじゃんっ!」

絶対濡れると思うんだけど……。

「……まぁ、いっか」

だって、隣にいる翔太が、すごい楽しそうだから。

イルカのショーは15分くらいで終わって。

「……ずぶぬれ」

「悪かったって」

一番前で見てたあたし達は、当然周りの誰よりも濡れていて。

その後も水族館の中をまわってると、あっという間に夕方になり、帰ることになった。

「翔太はさー元カノとか、いないの?」

「んーいない」

「いないの考えてる時間はなんですか」

「いや、ガチでいねぇって。俺、ほとんど学校いってねぇしっ!」

「え……」

「それで怖がられてたっつーか、みんな俺に関わんなかったから。卒業式も行ってねぇしっ」

そういえば……翔太と同じ中学の人って……いない、かも。

「それよりさ、また行こうな! 水族館」

「……うんっ」

翔太……その笑顔は、



寂しさで、できたものですか……?


< 81 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop