【完】999本のバラを君に。
知らない心
最近、翔太の様子がどこかおかしい。
「ねぇ、翔太ー」
「んー?」
返事だけで、あたしの顔を見ない、んだよね。
それと、もう1つ。
──プルルルルル
「わり」
最近、よく鳴る翔太のケータイ。
その度に、拒否してて。
「いい、の……?」
「余裕」
「誰から、なの?」
「……親父」
「ちょっ、ダメでしょ!」
「いーんだよ」
そう言って、あたしをギュッと抱きしめる翔太。
「真優」
そう優しくあたしの名前を呼んで、優しく唇を重ねる。
……こうやって、話流されてばっかり。
でも……あたしを抱きしめるこの腕が、いつもよりずっと力強くて。
どこか、苦しそうで。