【完】999本のバラを君に。
唇が離れれば、また、翔太の携帯が鳴った。
「しょ、うた……」
「……ったく」
翔太は小さくため息をついて、ケータイの画面をみる。
「誰、から?」
「弟」
「へぇ……弟くんいたんだ。今度会わせてよ」
え……。
「んー、まぁ……機会あったらなっ」
「う、うん!」
“会わせて”って、言ったときの翔太の顔が、頭から離れない。
苦しそうで、不安そうで、悲しそうで……。
「……なぁ、真優」
「んー?」
「……幸せって、なんだと思う?」
「え……っと」
「いや、なんでもねぇや。今の忘れて」
「あ、うん……」
“幸せ”
あたしは、
翔太といる時間が、一番幸せだよ……?