【完】999本のバラを君に。
駅に向かうと、梨華はもう立っていた。
「梨華! ごめんね、急に」
「いーって。あたしも、暇だったし」
「須田君は?」
「塾。会える日もぜーんぜんないの」
「ありゃりゃ」
「とりあえず、近くのカフェいこっか」
「うんっ」
そう言えば、梨華と遊ぶのはすごい久しぶりかも。
カフェに行く間、ずっと他愛ない話をしていた。
つけば、梨華は紅茶、あたしはアイスココアを頼んで、空いている席に座る。
「最近、相原とはどーなの?」
「翔太? いっつも一緒にいるよー。今日はなんか、急用できたから」
「ふーん。この前さ、樹が言ってたんだけど、相原と同じ中学の子が言ってたんだって。“関わんない方がいーよ”って」
「なんで?」
「さぁ? 相原って、いわゆる坊ちゃんらしいよ」
「え、お金持ちなの?」
「うん、そう言ってたって」
確かに、翔太の家ってすごい大きいけど……。