【完】999本のバラを君に。
「イトコって、この前の土曜日?」
珍しく用事あるって言ってて会えなかったんだよね。
「そ。弟のパーティー」
「パーティー??」
「弟の誕生日パーティーだったんだよ」
「へー楽しそー」
「そーでもねーよ」
「なんで??」
翔太はチラリとあたしの目をみて、すぐに逸らした。
「真優には、もう教えないとな」
そう言って、あたしの方を見て、小さな声で言った。
「……俺、不倫の子なんだよ」
「え……」
そのとき、あたしの頭の中が、真っ白になった。
今まで、見たことないくらい、翔太の悲しそうな顔。
「俺の親父、社長でさ、この家だって親父はほとんど帰ってこねーの。もう1つ家あって、そっちには弟もいるし、執事もいるんだぜ?」
軽く笑いながら話す翔太。
でも、表情は、悲しそうで。