【完】999本のバラを君に。
「ずるい……っ。なんで、そうやって……っ、心の中で泣くの……っ?」
ねぇ、翔太。
気づいてるよ、知ってるんだよ。
翔太が、時々寂しそうな顔を見せることぐらい。
「はぁ? 泣いてねーよ、ばあか」
「嘘、つき……っ。泣いて、んじゃん……っ」
嘘、つかないでよ。
だって、翔太の心はもう、ずっとずっと泣き叫んでる。
あたしは、ギュッと、翔太を抱きしめた。
「もう、心の中で泣かないで……っ」
無理に笑わないで。
「……ほんと、真優には敵わねーな」
そう言って、翔太は強くあたしを抱きしめた。
そして、抱きしめてる体が、小さく震えてるのがわかる。
愛しい……。
この震えてる体が。
大きいのに、どこか寂しそうで。