君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
「何で朝から団長と二人で飯を食わなきゃいけないんですかね?」
そう言いながらもキッチンからポットを持って来て熱い紅茶を入れてくれる。
ティーカップの口に輪切りのレモンを添えて出してくれるレイを
「・・・お前、やっぱりいい嫁になるわ」
「私は、あなたの嫁になるつもりはありませんからね」
褒めた筈なのにキッと睨まれた・・・
何で睨まれるの・・・?
レイが自分の朝食をテーブルに置いて向かいの椅子に座ったのを確認してから
「さっき、ニコルが戻った」と伝えると
「知っています。先程、ソフィ様と廊下で話していらっしゃったのが見えましたから」
どうやら、此処から見えていたようだ。
湯気の出る熱い紅茶にレモンを入れて口に運ぶ。
ふぅ・・・と静かな空間に俺の溜め息が響いた
「なぁ、レイ」
「何ですか?」
「王子さぁ・・・マジで姫さんを何処かに隠しちまうかもよ」
「え?」
さっきのニコルの瞳は・・・
「ニコルは姫さんの事を話でしか聞いていない筈なのに、獣が獲物に狙いを定めた目をしていた」
氷の王子と違ってニコルは、その甘いマスクで女達を虜にしてきた。
爽やかな笑顔と優しい口調で一見、優男にも見えるが実際は剣術にも魔法術にも長けている。
一癖も二癖もあるニコルを相手に作戦を考えるのも至難の業。
---早く、飯食って王子に相談しよっと
急いで飯を口に放り込む俺を見て
「だから、喉に突っ掛かりますよ」
呆れ顔のレイがカップに紅茶を注いでくれた。