君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
「ただいま、兄さん」
にっこりと笑顔で言う弟に
「あぁ」
いつもの通りに返す。
いつもなら、これで終わってホールに向かう筈なんだが・・・
今日は俺の顔を覗き込んできた。
「と・こ・ろ・で、噂の美少女を何処に隠しているの?」
「・・・・・」
---何故、フローラの事をそんなに気にする?
思わず、ニコルを睨み付けた。
「何で、そんなに姫さんに会いたいんだ?」
俺の代わりにヴァイスが聞けば
「だって兄さんの大切な人なんでしょう?挨拶くらいしなくちゃね♪」
「挨拶なんて晩餐会ですればいい」
「えー?それは失礼かなって思ったから来たのに」
「姫さんは、まだ支度が終わってないから俺と先にホール行って待ってようぜ」
ヴァイスがこの場からニコルを離そうと話しかけた
「支度が終わってないんじゃ仕方が無いね。その代わり後で、ちゃんと紹介してよね、兄さん?」
「・・・・・」
---誰がお前に近付けるか
「じゃあ待ってるよ!」
「王子、先に行ってるからな」
「あぁ」
前を行くニコルとヴァイス。
二人の後姿が見えなくなってから俺もフローラの部屋へ歩き出した。