君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
フローラを席までエスコートしてから後ろ髪を引かれる思いで自分の席に着いた。
フローラの姿を確認しようとすれば、やはり花などが邪魔をしていて見る事が出来なかった。
---くそっ、これじゃ何かあっても直ぐにわからない・・・
「そんなに彼女の事が気になるの?」
隣に座ったヤツが楽しそうに話しかけてくる。
「・・・煩ぇ」
「クスクス・・・まぁ、兄さんの気持ちも分からなくはないけどね」
頬杖をついてチラリと俺の顔を見たニコルは話を続ける。
「宝石で飾っていなくても、この会場の中で一番目立つもんねぇ・・。
あれ程の美人は見た事がないよ。それでなくても貴重な人なのに。」
「・・・・・」
---貴重な人?
「どういう意味だ」
「え?そんなの兄さんが一番よくわかってるんじゃないの?」
---俺が一番よくわかっている・・・?
「何の事だ」
「それは・・・」と口にしたニコルだが、その後に続く筈の言葉は父上が立ち上がって挨拶を始めた事によって遮られた。