君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
だが、両親を殺した父親に・・・と言うよりは、あの男に恐怖を感じている感じがするのは気のせいか・・?
「フローラは父親ではなく、あの男が怖いのか?」
疑問を口にすれば
「あの男は、両親を殺された私を執拗に追いかけてきて生け捕りにしようとしていたから・・・」
「生け捕り・・・?」
「あの男は、私の血の事を知っていて利用しようとしていたの。だから必死で逃げて・・・」
そこまで言うと肩を震わせて堪えていたものが溢れ出してきた。
涙がポロポロと頬を伝って濡らしていく。
そこでハッとした・・・最後に異界に通じてフローラに再会した時、彼女の手は有り得ないくらい血だらけだった。
もし、あの時あの男に狙われていて逃げていたのだとしたら・・・
「まさか、再会した時怪我していたのはあの男のせいなのか・・・?」
俺の言葉を静かに聞いていたフローラは、無言で頷いた。
あの時の「助けて」は、あの男から助けて欲しいって事だったのか。
あの光景を思い出して、沸々と湧き上がる怒りに瞳が熱くなるのを感じた。
「ちょっと、王子っ!力を抑えてっ!!!」
慌てたヴァイスの声が遠くで聞こえたような気がした。