君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


「兄さん?僕、弟だよね?」


「・・・・」


何も言わない俺を見て顔を引き攣らせるニコルに


「姫さんをお前に会わせたら妊娠しちまうってよ」


ヴァイスがとどめを刺した。


「は?」


「そこまで言ってない」


会わせたくないとは言ったが妊娠するなんて言ってない。


「会っただけで妊娠するわけないでしょ?」


「いんや、お前なら出来そうだ」


「人を化け物みたいに言わないでくれる?」


話している二人から視線を逸らして時計を見ればもう30分程フローラを閉じ込めたままだった事に気付く。

流石にもう浴場からは出ていると思うが俺が迎えに行くまで結界の外には出られないから心配になってきた。


ニコルが密偵じゃない事がわかっただけでも今日は収穫があった。


「お前達、帰れ」


まだ話が終わらない二人に言えば


「え?」 「は?」


揃って間抜けな声を出す。


「何で急にそうなるの?」


ニコルが不満の声を上げるが


「フローラを結界内に閉じ込めたままなんだよ」









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