君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
城下では露店が軒を連ねて、民が楽しみにしている行事の一つだ。
王子には、星祭りで重要な役割なんてないから特に言い忘れる事も無いと思うんだが・・・
「王子は星祭りなんて、あまり関係ないだろ?」
疑問を口にすれば
「いや、星祭り自体は問題無いんだけど・・・」
口篭るニコルは難しい顔をする。
「星祭りに、あの女狐も来るから忠告しておこうと思ったんだけど明日でもいいか・・・今から戻っても門前払いだろうしね」
「あの女が来るのか!?」
ニコルが女狐と呼ぶ、その女は王子が女嫌いになった諸悪の根源・・・
ソフィの母親だ。
あの女が来るなんて・・・また良からぬ事を考えているに違いない。
「兄さんの機嫌が悪くなるから来ないで欲しいんだけどね」
「明日の王子の反応が怖いわ・・・」
晩餐会を無事に終えてホッとしたのも束の間。
まだ見つからない密偵に、女狐、闇の術者・・・
次から次へと沸いてくる問題に頭が痛くなってきた。
「まぁ 女狐の事は明日、兄さんに言うとして・・・密偵の事は僕の方でも調べてみるよ」
そう言って自分の部屋の方へ歩き出したニコルに別れを告げて、俺も部屋へと戻った。