君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
記憶
自分の部屋で寝ていた筈なのに今、俺が居るのは森の中・・・?
また、異界に入り込んだのかと思ったが、そうではないらしい・・・
異界とは明らかに空気が違う。
「ここはどこだ・・・?」
腕の中にいたフローラの姿も見えない。
立ち上がってきょろきょろと見回してみるが・・・
見渡す限り鬱蒼と生い茂った木々があるだけ。
道らしい道もないから、進もうにも何処に行けばいいのかわからない。
その時・・・
・・・ガサガサッ
後ろの茂みが音を立てて揺れ始めた。
---何かいる・・
そう、思った瞬間・・・
・・・ザザッ!
茂みの中から飛び込んできたのは大きな瑠璃色の狼だった。
「・・・狼」
よく見れば傷だらけで口元には血がつきフラフラだ。
その狼は俺を気にする事無く前を通り過ぎていく。
・・・ガサガサッ!
ちょうど俺の目の前に来た時、狼が出てきた辺りの茂みからまた音が聞こえた。
「シエルッ!!」
その聞き覚えのある声に振り向いた視線の先には、プラチナブロンドの長い髪を靡かせながら駆け寄ってくるフローラがいた。