君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
<風の精霊シルフ 我が身を守る 風の流れを呼び起こせ>
・・・ギュルルル----
術者が油断した一瞬の隙にフローラが風の精霊を呼び出した。
フローラを中心に風の渦が現れたかと思うと、身を守るように竜巻が巻き起こる。
「ぐあっ!!」
あまりの威力に流石の術者も持っていた剣ごと吹き飛ばされた。
「・・・はぁっ、はぁっ」
さっきまでは動けなかった体をゆっくりと持ち上げ、フローラが立ち上がる。
その姿は見ている方が顔を背けたくなるほどの有り様で。
俺が異界で再会したフローラよりもかなりの深い傷を負っていた。
<大丈夫か?>
いつの間にか近付いていた狼が声を掛けると
「私は大丈夫。シエルは・・・」
<我も心配はいらぬ。それよりも、今の内に行くぞ。次に攻撃をされたら逃げられそうにないからな>
何処かに向かって歩き始めた。
後ろを振り返り、弾き飛ばされた術者を見れば
近距離から受けた風の威力に気を失っているようだ。
視線をフローラに戻せば、風の守りを解いて狼の後をフラフラとついて行く。
俺も見失わないように後を追いかけた。