君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)

この狼は・・・


呆気に取られて狼を見ていると


<お主がフローラが言っていた人間の男か>


狼が俺を見据えていた。


きょろきょろと見回すが、狼と俺以外は誰もいない。

もう一度、狼を見れば確かに俺を見ている。


「え?」


俺の姿は見えない筈だよな・・・?


<そんなに驚く事ではない。我にはお主の姿が見える>


「俺?」


<あぁ、そうだ。お主であろう?エンシェント・ドラゴンに挑んだ愚かな人間の子供とは>


エンシェント・ドラゴン・・?

子供の頃の事をフローラは狼に話していたのか?


「確かに挑んだが・・・」


そう答えると、嬉しそうに目を細めた。


<我は暫くの間、眠りにつかねばならぬ。我が目覚めて迎えに行くまでフローラを守ってくれぬか?>


迎えに行くまで?冗談じゃない。


「言われなくてもフローラは守る。ずっとな」


俺の返事に、にやりと口の端を上げて


<我が迎えに行くまでだ。頼んだぞ>


念を押して言うと、そのまま横になって目を閉じてしまう。

この狼は、城まで迎えに来るつもりなのだろうか?


「───絶対に渡さねぇ・・・」




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