君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
それに頷けば・・・
「あの・・私に衣装なんて必要ないんじゃ・・・?」
最もな答えなんだけど・・・。
本来、星祭りで衣装を着るのは豊穣の祈りを捧げる巫女だけだから。
俺もそれを聞いた時には首を傾げた。
「そうなんだけど、せっかくだからって」
「誰が」
衣装の話を黙って聞いていた王子が口を開いた。
「陛下だよ」
「父上が何で・・・」
陛下の名前を出せば訝しげな顔。
「初めての星祭りを楽しんで欲しいって言ってたけど」
「それで衣装?変な話だよね。だって、星祭りで衣装を用意するのなんて巫女だけでしょ」
ニコルの言葉に王子の動きが止まる。
「・・・巫女?」
「そう。兄さんは知らないと思うけど星祭りで衣装を用意するのは豊穣の祈りを捧げる巫女だけなんだ」
王子は今まで星祭りに参加はしていたが多分・・・いや絶対、巫女の事なんて見てなかっただろうし。
きっと衣装の事も初耳だと思う。
益々、眉間に深い皺が寄せられた王子に
「衣装を用意させた張本人に聞いてみるのが一番だね」
そう言って立ち上がると
「ちょっと聞いてくるよ」
ウィンクをして部屋を出て行ったニコルの帰りを俺たちは待つしかなかった。