君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
「衣装合わせは3時にパール嬢の部屋だってさ」
巫女用の衣装は既にパール嬢の部屋に運ばれているらしい。
それに反応したのが王子で・・・
「フローラの衣装はここで合わせればいいだろ」
不満を口にする。
「それは駄目だよ、兄さん」
ニコルが否定的な言葉を発すればギロリと睨みを利かせる王子。
無言だけど、その眼が「何故だ」と言っていて。
「巫女の衣装は本番まで非公開なんだ。それが例え王子でもね」
そう。巫女の衣装は祈りの儀式が始まるまで人目に晒してはならないという決まりがあるから、当日は早朝から姫さんと別行動になる。
チッと舌打ちが聞こえたが、それ以上何も言ってこなかったのは渋々了承したって事だろう。
時計を見れば2時半で、そろそろパール嬢の部屋へ向かう時間。
「じゃあ、姫さん。そろそろ時間だからパール嬢の部屋に行こうか」
姫さんに声を掛ければ、こくりと頷いて立ち上がった。
「送って行く」
短い言葉と共に立ち上がった王子が姫さんの腰に手を添えて歩き出した。
「僕達も行こうか」
その王子達の後に続いて俺とニコルも部屋を後にした。