君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)




───コイツ、本当にムカつく!


無視し続ける俺に、しつこく付き纏ってくるヴァイスは飽きる事無く俺の反応を窺っていた。

だからかもしれない。

俺達の後ろから近付いてくる気配に気が付くのが少し遅れたのは・・・


「ロック様」


名前を呼ばれたその声には聞き覚えがあった。

隣のヴァイスと、ほぼ同時に後ろへ振り返る。


「・・・げ」


ヴァイスの口から思わず零れた声を聞きながら、
久しぶりに見る顔に虫唾が走る。


そこには女嫌いになった元凶、オリビアが侍女を数人連れて立っていた。

以前と全く変わっていない顔は20代にも見え、あの時の感情が
そのまま蘇ってくる。


「お久しぶりですわね」


「・・・・」


声を聞くだけで殺してやりたくなる衝動をどうにか抑えて、
無言のまま踵を返して歩き出せば


「未来のお妃候補が、お一人増えたとお聞き致しましたわ」


オリビアの発した言葉に足が止まる。


増えた『未来のお妃候補』


それは間違いなくフローラを指していた──────




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