君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


風を感じて振り向けば


「あら、先客がいらしたのね」


このお城で初めて見る美しい女性が、ゆっくりと歩いて来るのが見えた。

話し掛けてきたその人は、胸元が大きく開いた水色のドレスに身を包んで、にこりと微笑んでくる。


「───あ・・」


---何だろう、この違和感・・・


その違和感がわからないまま女性を見ていると


「あなた、もしかしてフローラさん?」


自分の名前を呼ばれた。


「え?は・・はい」


「やっぱり!噂通りの美しさね」


眩しいくらいの笑顔を向けられて、思わず赤面してしまった。


---何、女性に赤面してるの私!


思わず両手で頬を覆う。

自分の反応に戸惑っていると


「フローラさんに一度お会いしたいと思っていましたのよ」


「私に・・・?」


何故か私に会いたかったというこの女性は一体誰なんだろう・・・


「えぇ。あのロック様のお心を射止めた方ですもの」

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