君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


「こんな魔法石、初めて見るんだけど・・・」


魔法石を袋に入れ直し、視線を俺に向けるヴァイス。


「だろうな」


それに答えながら、フローラの姿を探す。

俺の返事に片眉をぴくりと上げると


「・・・ってか、コレどうやって使うのさ?」


初歩的な事を聞いてくる。


---おい。


「お前、魔法石の使い方知らないのか」


半ば呆気にとられて聞くと「アハハ」と乾いた笑いをして視線を逸らす。

どうやら本気で、使い方を知らないらしい・・・


---城を出る前にわかって良かった・・・


「───後で使い方を教える」


盛大な溜め息を吐いて進んでいれば、一瞬だけ魔法の気配を感じて振り返る。


「・・・王子」


どうやら、ヴァイスも気配に気付いたようでキョロキョロと周囲を警戒していた。

だが、消えてしまった気配を再び感じる事は無く、いつも通りの中庭に戻っている。


此処で魔法を使った者がいる事実に嫌な予感を覚える。


「急ぐぞ」


---胸騒ぎがする・・・









< 291 / 393 >

この作品をシェア

pagetop