君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


城外へ出てみれば、祈りの儀式を見物しようと国中の人々でごった返していた。


---うげっ!これ、警備ちゃんと出来ているんだろうな・・・


予想以上の人の多さに多少の不安を抱えながらも、見回りしつつ祭壇へと近付く。

≪祈りの儀式≫が始まるのは、薄暗くなって星が見え始める午後6時。

今日は歴代の星祭りの中で、最も願いが叶うと言われている特別な星祭りだ。

フルムーンに流星群が重なるなんて奇跡に近い。

だからだろうか・・・
≪祈りの儀式≫の祭壇がいつもと違うのは。

祭壇の中央には宝剣が置かれていて、クリスタルで出来ている刃の部分がキラキラと光に反射している。

毎年、星祭りは行われているが・・・
この宝剣が人目に晒されたのは初めてだ。

それに、この配置。
8人の巫女がそれぞれの定位置で祭壇を囲むように立つのだが、その位置に色の違う石が嵌め込まれていた。
何故、石を嵌め込む必要があるんだ?

いざという時の為に、予防線は張ってあるが・・・

刻一刻と儀式の時間が近付いているのに王子とニコルはまだ戻っていない。
最初の予定では、日が暮れる前の4時頃には戻れると言っていたのに・・・


---王子、早く戻って来てくれよ──っ!!


心の中で叫んでみたが、王子とニコルが姿を見せる事無く、儀式開始を伝える錫杖の奏でる音が鳴り響いた。


・・・シャンッ!!


空を見上げれば既に日は沈み、昇り始めたフルムーンは不気味なほどに大きく見えた───

< 300 / 393 >

この作品をシェア

pagetop