君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
「煩ぇ!黙って見てろっ!!」
驚いていたルイスとニコルも、俺の剣幕に口を噤み、王子に視線を移して様子を伺う。
王子の血と姫さんの血が交じり合って、体中、真っ赤に染まった王子。
注意深く見ていれば、火竜にやられた傷に少しずつ変化が見られた。
「え?」
「これは・・・」
ニコルは驚き、ルイスは少しずつ塞がっていく傷を信じられないといったように凝視する。
あれだけ酷かった傷が嘘のように綺麗に消えていき、残ったのは王子の体に付いていた二人分の鮮血だけ。
「ヴァイス・・あなた、一体・・何をしたんですか?」
ルイスが驚愕の表情で俺を見てくる。
「ルイスも王子に聞いた事あっただろ?姫さんの血を王子に掛けただけだ」
俺の言葉で思い出したのか、ハッとするルイス。
「話には聞いていましたが・・・まさか、これ程の効果があるなんて信じられません」
もう一度、王子の傷口をじっくりと診ていく。
ルイス同様、驚きを隠せないニコルだったが、俺の言葉を聞くと、医務室をキョロキョロと見回す。
「そう言えば・・フローラちゃんは?さっきから、姿が見えないんだけど・・」