君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


「姫さん!?そんなこと出来るわけねぇだろ。姫さんは祈りの儀式の前までは城に篭りきりだったんだ」


城から抜け出す事なんて出来なかった筈。


「あの娘は精霊使いだ。抜け出さずとも、伝える方法などいくらでもある。」


俺の意見を鼻で笑う人狼の言葉に「あぁ、そうだった」と納得する。

姫さんが俺の前で力を使ったのは一度だけ。

それ以外で見た事もなかったから、すっかり忘れていた。


---じゃあ、その姫さんは、いつ王子が火竜に襲われた事を知ったんだよ!?


「姫さんは儀式が始まる前に、王子が火竜と戦っていた事を既に知っていたのか?」


「あぁ、知っていた。その儀式とやらが始まる前に風の精霊を飛ばしていたからな」


だが、その言葉に疑問が残る。


「なら、儀式が始まる前に誰かに伝言すれば良かったんじゃないか?」


「それは無理だよ、ヴァイス。」


俺に答えたのは人狼ではなく、ニコルだった。

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