君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
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(side:ロック)


酸味の利き過ぎるフラウの実を何とか飲み込むと、鉛のように重かった体が少しずつ軽くなってくるのを感じた。

フローラに聞いていたフラウの実を、まさか自分が必要になるなんて思いもしなかったが、体に徐々に漲ってくる力を確かめるように拳を握ると、掌の中心が熱く熱を帯び始める。


「そろそろ力が戻ってきた頃か?」


様子をずっと見ていたシエルが、俺の拳に視線を流しながら聞いてきた。


「あぁ、もう大丈夫だ。」


それに頷いて答えれば、歩き出したシエル。


「出来る事ならば、我がフローラを助けに行くのだがな」


シエルの言葉は、自分で助けに行けない事を伝えていて


「悔しいが、お主の力が必要だ・・・」


横を通り過ぎる時、ぽつりと零した言葉に視線を向ければ、シエルの横顔には悔しさが滲み出ていた。

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