君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


大体、シエルの本体に会ったのも初めてなんだ。

あの時は人型にもなっていなかったし、わかるわけがない。


「シエル。お前は、これからどうするんだ」


中庭に出た所で足を止めたシエルに声を掛けた。


「我は、また暫くの間眠りに就く。
力が戻るには、まだ時間が掛かるからな」


瑠璃色の髪は月の光に反射して、キラキラと神秘的な輝きを放っていた。


「そうか・・・」


「今回は、フローラを頼んだぞ」


俺の頭上から見下ろしてくるシエルは、かなりでかい。


「言われなくとも、フローラは俺が必ず助ける」


目の前の人狼は、瑠璃色の長い髪を風に靡かせて切れ長の目を細めると、僅かに口角を上げる。


「あぁ、任せる。
我の花嫁を失うわけにはいかぬからな」


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