君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
───3時間後───
コツコツと長い廊下に響くのは俺の足音。
点々と魔法で灯されている炎は淡い光を放ち、俺の影を作って廊下に長く映り揺れていた。
風呂に入って血を洗い流した俺は、荷造りを終えて王子の部屋へと向かっている。
途中、見張りの団員が俺の姿を見て驚きの表情を見せるが「ご苦労さん~」と声を掛けて進んで行くと、部屋の前の壁に背を凭れて立っていたニコルの姿が見える。
「何だ、まだ部屋に入れてもらえないのかよ?」
俺の声に視線を向けてきたニコルは
「見りゃ、わかるでしょ・・・」
ジトッと睨む。
それを受け流して部屋の扉に視線を向ければ、赤い光を発している大きな魔法陣がゆっくりと回りながらパチパチと火花を飛ばしている。
「こりゃ、相当、お怒りだね・・・」
怒りが抑えきれない王子から発せられている力に反応している魔法陣。
それを苦笑いで見ていれば
「その格好・・・竜騎士団の鎧だね。
荷造りも済ませたみたいだし、ヴァイスは兄さんと一緒に行くんでしょ?」
隣から聞こえた声に視線を移す。
「当ったり前でしょ~が! この魔法陣を見てみろよ。
怒りまくってる王子を一人で行かせられるわけないだろ?
へタすりゃ、姫さんごと大陸が吹っ飛ぶぞ」
今まで見た事が無いほどの絶大な力に、不安を口にすれば
「フローラちゃんだけは、何があっても守るんじゃない?」
「・・・・・だろうな」
二コルの発した言葉に納得した俺。