君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)
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バルコニーから飛び降りて、足早に中庭へと歩を進めれば、大地はまだ霧に覆われていて、朝日さえ昇っていない。
耳に届くのは風の音と、その風に揺られている草のサワサワと擦れ合う音だけ。
その中を進んで、中庭の中央までやって来れば、一角だけ草の生えていない所がある。
そこで足を止め、ガーネットの石が埋められた地面に手を翳すと魔法陣が形成されていく。
『ヴイーヴル』
名を呼べば、地響きと共に姿を現した俺の翼竜。
鼻先を差し出し、忠誠を表す挨拶をするヴイーヴルに
「ヴイーヴル。フローラの所まで連れて行ってくれ」
声を掛けながら鼻先を撫でると、了承したヴイーヴルは俺が乗りやすいように首を下げる。
荷物を担いで、飛び乗ろうとすれば背後に気配を感じた。
「おいおい、王子~。俺達に黙って行っちまうのかよ?」
その声に振り向けば
「ほんと、酷いよね。兄さんって」
竜騎士団の鎧に身を包んだヴァイスと、同じ様に騎馬隊の鎧に身を包んだニコルが立っていた。
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バルコニーから飛び降りて、足早に中庭へと歩を進めれば、大地はまだ霧に覆われていて、朝日さえ昇っていない。
耳に届くのは風の音と、その風に揺られている草のサワサワと擦れ合う音だけ。
その中を進んで、中庭の中央までやって来れば、一角だけ草の生えていない所がある。
そこで足を止め、ガーネットの石が埋められた地面に手を翳すと魔法陣が形成されていく。
『ヴイーヴル』
名を呼べば、地響きと共に姿を現した俺の翼竜。
鼻先を差し出し、忠誠を表す挨拶をするヴイーヴルに
「ヴイーヴル。フローラの所まで連れて行ってくれ」
声を掛けながら鼻先を撫でると、了承したヴイーヴルは俺が乗りやすいように首を下げる。
荷物を担いで、飛び乗ろうとすれば背後に気配を感じた。
「おいおい、王子~。俺達に黙って行っちまうのかよ?」
その声に振り向けば
「ほんと、酷いよね。兄さんって」
竜騎士団の鎧に身を包んだヴァイスと、同じ様に騎馬隊の鎧に身を包んだニコルが立っていた。