君の瞳に囚われて(加筆・修正しながら更新中)


「フローラは、何処だ」


その質問に、ゴクリと唾を飲み込んだ男に


「まだ生きていたいならば、嘘は吐くなよ?」


念を押した王子の声は鋭い。


「・・・あの女は、────の地下神殿に居る」


震える声で答えたその言葉に、周囲の空気が凍りつく。


「地下神殿・・・だと?」


眉間を寄せていた王子は、僅かに目を見開いて男を見遣る。

王子が驚くのも無理は無い。

今、この男が口にしたその場所は、俺達人間が足を踏み入れる事が許されない神聖な場所。

そして、その地下神殿の入り口は神の強力な結界に守られている筈だった。

そんな場所に、易々と入れるものなのか?


「嘘ついてるんじゃねぇだろうな?」


思わず口に出てしまった言葉に、王子の瞳が細められると


「う、嘘なんて言ってねぇよ!」


俺の言葉に過剰に反応した男は、慌てて王子に訴える。


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